Y君の10秒5


もう20年以上になるが、ある日高2の男子生徒が賞状を手にして、にこにこして教室にやってきた。どうしたんだと聞くと、「追い風で危なかったのですが、ぎりぎりセーフで公認記録が出ました。」と
穏やかな性格の彼がいう。


彼は陸上の短距離をやっていて、県大会の100m走で県の高校記録が出たのだと言うではないか。100m、10秒5。速い、やりましたね。彼の栄誉を称えたのはもちろんだ。


あれから何十年も折に触れて彼の記録を確認していた。塾生諸君にもときどき話していた。先日、久しぶりに県高校記録を確認したところ、彼の記録は10秒4の新しい記録に塗り替えられていたのだ。


0.1秒縮めるのに、10年は要するであろうこの種の高校記録の重みと、この0.1秒に時間の経過に隔世の思いがした。Y君、このブログを読まれていたら連絡されたし。久しぶりに酒を酌み交わしたい。